手仕事と自然が織りなす葛布に魅せられて-大井川葛布【静岡県島田市】

手仕事と自然が織りなす葛布に魅せられて

独特の光沢があり、肌に心地よい天然繊維、葛布。万葉集にも詠まれ、平安貴族が衣裳に用いたという古代布だ。その美しさに魅せられて訪ねたのは、大井川葛布というブランドを立ち上げた村井龍彦さんと妻の良子さんの工房だ。
葛布作りは梅雨明けに行う葛の採取から始まる。大井川の河川敷に自生する葛から、よい糸ができそうなものを見極めて刈り取り、煮て、発酵させる。これを大代川の清流で洗い、繊維を取り出し、天日で干す。乾いたら結んで葛糸にする。葛布には、撚りをかけない平たい葛糸をヨコ糸に、絹や綿をタテ糸に使う。平たい葛糸に光が反射し、美しい光沢が生まれるのだ。織り上がった葛布は、柿渋や琉球藍などの天然染料で染める。
糸作り、織り、染めに大変な手間と時間がかかるが、自然素材から生まれる葛布は人にやさしい。「食や住まいの安全性を意識するように、葛布を通して衣類の安全性も伝えたい」と語る村井さんの葛布は、健やかな美しさも宿している。

手仕事と自然が織りなす葛布に魅せられて 大井川葛布

昔ながらの工房は見学OK。葛布製品も購入できる

工房はおよそ築50年の織り場だった建物を移築したもの。ここでは明治時代からの織り機も現役だ。ストールやブックカバーなど、葛布で作った小物も購入できる。 毎週火曜日と土曜日には織物教室を開催している。詳細はHPで確認を。

昔ながらの工房は見学OK。葛布製品も購入できる 大井川葛布

プロフィール

大井川葛布
〒428-0021 静岡県島田市金谷河原1747 0547-45-4151
http://www.kuzufu.com/
9:00~17:00(昼休み1時間は除く)
定休日:土曜日、日曜日、祝日、年末年始、お盆休み
工房見学:営業日、営業時間内は工房の見学ができる。必ず事前に連絡を。
新東名 島田金谷ICより約8分/東名高速 牧ノ原ICより約20分